詩のしらべ

友人の詩を、気ままに載せる場所。

景色も見えぬ地下鐵で

景色も見えぬ地下鐵で

 

ぼくはひとり川辺を歩く

 

山の上に、雲でできた鳥が

 

夕日を受けて輝きながら

 

斜め45度上に向かい

 

その人文字で息をつく

 

Sing like nobody is watching

 

この電車もいつか赤みがかって

 

輝く夕日に染まる世界を

 

雲の鳥になり飛ぶんだろう

 

Dance like nobody is watching

 

いつもながら颯爽と

 

 

 

微熱青年

夢がさめる 風が吹くよ

 

サイダーのつぶつぶしたかんじと

 

ぼくらの笑顔はどこか似ている

 

生きてるって氣がする

 

それをここで 終わらせたいんだ

 

きれいに

 

きれいに

 

宇宙みたいに なんちゃって

 

街が揺れる 月が笑う

 

今夜にも嘘がばれれば

 

どんなにか楽だろう

 

暗い暗い吐き氣もやむだろう

 

ひとりきり今

 

時計の針を止めて

 

宇宙(そら)の鼓動すら止めて

 

微かな熱にふれた

 

ぼくは風邪 風邪

 

命の針を止めて

 

骨の軋みも止めて

 

微かな熱にふれた

 

ぼくは風邪 風邪

 

明日からぼくは抜け殻になるよ

 

かわいい君にも氣付かれずなるよ

 

やさしいあなたに

 

かわいいあなたに

 

氣付かれずにぼくは抜け殻になるよ

 

 

ミソラソミレレソソラシラソソ

木の葉のまちの暮れ定め

 

吐息もかすめ山と石

 

あさき夢みし時よりめ

 

戀し悲しや遊び谷

 

夢別れ からたちの

 

道すがら 恥ずかしき夜

 

いやさうと思ふぞ 雨だれに

 

いつぞの川の夕暮れに

 

誰が心には足の跡

 

息は枯れ 風泣きし

 

戻ることあたがわし夜

 

つくれると思ふぞ 石影に

 

この街は染まりませう

 

あなたの心に染まりませう

 

いつかまたかの日を 思いませう

 

 ※「戀」...恋の旧字体

待ちぼうけ

肩にかかった荷物が重い

 

君が来ないと待ちぼうけ

 

この大きすぎる東京で

 

溢れる人波に肩を押されて

 

止まる場所もなく

 

休む場所もなく

 

背中を丸めて君を待つ

 

誰かに話しかけられて

 

それでもぼくは上の空

 

だけどもここは地下だから

 

上の空にも空がない

 

電車の鈍い車輪の音が

 

耳の奥までガタガタ響く

 

君が来ないと待ちぼうけ

 

この大きすぎる東京で

 

肩をすくめて待ちぼうけ

 

 

自由

自由は、最高だ。

 

どこまでも広がる草原を背に

 

バイクに跨がって

 

何にも縛られず

 

何も縛らず

 

ただ風を追いかけて

 

  風を追いかけて

 

どこまでも續く道を行くんだ。

 

 

代償もある。

 

 努力すること。自律すること。

 

 優しくあること。正しくあること。

 

 生命力に満ち溢れ、

 

 自分という存在の価値を高め續けること。

 

 強くあること。

 

 勇氣を持つこと。

 

 

ときには、そうさくじけることや、

 

くたびれることもあるだろう。

 

けど、何にも増して、

 

髪をなびかせ風を切り、

 

草の匂いを全身に受けて

 

轍なき未来を走り續ける

 

限りないこのぼくの自由は、

 

最高だ。

 

 

※「續」...続の旧字体

 

 

電機屋さん

電機屋さん、

 

色んなおうちを周って検査。

 

こどもの頃から電機が好きで、

 

家の機械を分解しては、

 

お母さんに叱られていた、

 

あの人が今は電機屋さん。

 

中學のときに感電してから、

 

いよいよ電機は触るまいなど、

 

決心したのも束の間に、

 

二日後からは音響装置を、

 

分解していた電機屋さん。

 

きっとあの人みたいに生きれば、

 

素敵に時間が過ぎそうな……

 

予感。